うわさ話に抗して世界を見る

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オリバー・ストーン オン プーチン

うわさ話というものは、いささか信頼のおけないものであることを、私たちは経験的に知っています。「えー、あの人がそんなことするはずないよね」と考えて、直接本人に聞いてみると、まるで誤解だった、というようなことがあります。
ところで、テレビや新聞、ネットやSNSなどの情報があふれていますが、これも言ってみれば「うわさ話」と大きく違いません。どの新聞もネットもSNSまでも、同じような「話」を流しているものですから、「事実」や「真実」に違いない。「うわさ話」のような根も葉もないものとはきっと違うだろう、と。動画や写真まで見せられると、やっぱり事実だろう、と思ってしまいます。政府とか学者とか、一般に信頼されているとされる人たちが、その「真実性」を保障していると、ますます「真実」であると人は受け取ります。これが長期にわたって私たちの生活の中で流されると、事実や真実が、信仰や思想にまで侵入して、社会的信念を形成します。
かつての「大東亜戦争」の経験のことを言っているのではありません。現在の話です。現在の私たちは「自由・平等」や「民主主義」のなかで幸いにも暮らしている、というふうに多くの人は考えてきましたが、それは長い時間をかけて私たちのなかに積もってきた「うわさ話」にすぎないかも知れない、とふと気がつくときがあります。ふだん見聞きする事柄、友人や知人と話したりしているとき、買い物をしているとき、街を歩いているとき、そういう機会に、気がつきます。
私たちの日常生活は、とてつもなく狭い物ですから、直接見たり聞いたりできることは限られています。しかし、その狭い経験は「うわさ話」より確実ではないでしょうか。そこから「うわさ話」に抗して「世界」を見ることは困難ですが、不可能ではありません。
たとえばウラジーミル・プーチンの「うわさ話」ではなく、彼の話を丁寧に聞いた人(オリバー・ストーン)の記録映像に接することで、直接経験の世界を私たちは拡張することができます。

https://www.youtube.com/watch?v=nivJCOFKRk8