企業内教育

成人教育


 試みに「人材 教育」という語を検索サイトで検索してみてください。googleなら300万件くらいがヒットしますが、はじめの方に学校教育関連のサイトなどが出てくるとおもったら大外れです。企業の人材育成、そのコンサルタント会社、や「月刊人材教育」などの出版社など、企業の社員教育のサイトが延々と続きます。
 企業は「教育」を行なってもいるのだ、ということを学校の教員は忘れてはいけません。学校は「人格形成」であり「全人教育」を行なっているのに対して、企業の教育は、会社で働ける「専門知識」や「専門技能」をもった「人材」の育成なのだ、つまり学校のほうが「人間」の育成をめざし、企業は「企業人」育成を目指しているのだから、学校の方が「教育」機関としては「上等」なのだと学校関係者は勝手に思い込んでいないでしょうか。
 教育学のフィールドは最近では「学校」に限らず、人類学的手法も使いながら、家族や地域社会や社会の諸集団などにも拡がっているようですが、「企業の教育」を研究対象にしているのでしょうか? あるいは「教育関係」を研究している社会学は、企業の教育を対象にしてもいるのでしょうか?
 大学で社会学を研究した人が、『企業内人材育成入門 人を育てる心理・教育学の基本理論を学ぶ』などの本を出していたりするようですが、
http://book.diamond.co.jp/_itemcontents/0201_biz/44055-7.html
http://kit.cocolog-nifty.com/kits_diary/2007/06/post_1388.html
 JRの悪名高き「日勤教育」が企業内教育の本質だ、とくくってしまえるほど企業教育は単純ではないでしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/社員教育
 教育学や社会学などで、企業教育を研究したものをご存知の方、ご教示願えれば幸いです。
 もうだいぶ前から、企業は高校や大学の卒業生に、高校や大学で何を学んだかなどは期待していないのです。企業は自分のところで社員を教育しているのだとすれば、「学校の明日」は、もしかしたら「企業内教育」のなかに種を宿しているかもしれないと思うからです。
 学校の明日は、学校の内部だけではなく、いやより多くは、すでに「学校化した社会」のほうにその展開の種子は胚胎していると考えます。

写真はhttp://www.rie.h.kobe-u.ac.jp/~hc/sympo_report1.htmlより